「大学を辞めたい」――この言葉を子どもから聞かされた瞬間、動揺しない親はいません。
驚き、不安、怒り、そして悲しみ。さまざまな感情が入り混じります。
しかし、まず大切なのは「感情よりも、事実を整理すること」です。
なぜ辞めたいのか。どんな状況なのか。今、何に困っているのか。
焦って説得しようとせず、静かに耳を傾けてあげましょう。
私自身、専門学校の事務長として多くの再進学者とその保護者の方を見てきましたが、「早まった中退」よりも、「しっかり話し合って納得して選んだ中退」の方が、その後の再出発が圧倒的にうまくいきます。
親が抱く3つの不安
大学を辞めると聞いたとき、保護者の多くは次のような不安を感じます。
- 「中退=人生の終わり」ではないかという恐れ
せっかく入った大学を辞めることが「挫折」や「失敗」に思えるのは当然です。
しかし、現実には大学中退から専門学校に進学して手に職をつけた人や、就職・起業で活躍している人も少なくありません。 - 経済的な損失への不安
納めた学費や入学金が無駄になると感じる方も多いでしょう。
しかし、「失敗の学費」と考えるよりも、「次の進路を見極めるための経験費」と捉え直すことが、前向きな視点です。 - 世間体や将来への不安
親戚や周囲の目を気にする方もいらっしゃいます。
ただし、子どもにとって大切なのは「他人の評価」ではなく「自分が納得できる未来」です。
大学を辞めたい理由を丁寧に聞き出す
中退の背景は、一人ひとり違います。代表的なケースをいくつか挙げてみましょう。
- 勉強内容が合わない・興味を持てない
- 人間関係や環境にストレスを感じている
- 体調不良やメンタルの不調
- 経済的な事情
- 進路変更や別の夢の発見
どの理由であっても、子どもの中には「辞める罪悪感」と「このまま続ける苦しさ」の間で揺れています。
親がすべきは、結論を急がず「なぜそう思うのか」を掘り下げること。
頭ごなしに「甘えるな」と言ってしまうと、本音を閉ざしてしまいます。
中退後の選択肢を一緒に整理する
大学を辞める=進路が閉ざされる、というわけではありません。
むしろ、方向転換のチャンスでもあります。
次のような進路を一緒に検討してみましょう。
① 専門学校への再進学
「学び直し」の代表的な道です。
最近では社会人や大学中退者の入学が増えており、実践的なスキルを身につけて再スタートを切る人が多いです。
専門学校では、入学前から進路相談を受け付けているところも多く、希望の職種を明確にするサポートも充実しています。
② 資格取得・通信講座でのスキルアップ
中退後すぐに再入学が難しい場合、通信教育や資格講座を活用してスキルを磨くのも良い方法です。
「在宅ワーク」「クリエイティブ」「美容」「調理」「保育」など、専門性を身につけられる分野は多岐にわたります。
③ 就職・アルバイト経験を積む
社会経験を通じて「自分に向いている仕事」が見えてくることもあります。
大学中退を不利と感じる必要はなく、真剣に働く姿勢は多くの企業が評価します。
親としてできるサポートのポイント
- 「聞く」姿勢を大切にする
まずは意見を挟まず、子どもの気持ちを最後まで聞くこと。
話すことで自分の気持ちを整理できる子も多いです。 - 中退の手続きや時期を一緒に確認する
大学ごとに中退届や返金制度の締切があります。
焦らず、学務課に確認して正しい手続きを踏みましょう。 - 次のステップの情報を一緒に集める
オープンキャンパスや説明会への同伴、専門学校資料の取り寄せなど、親の協力で選択肢が広がります。 - 経済的な支援制度を調べる
専門学校への再進学では、「高等教育の修学支援新制度」「専門実践教育訓練給付金」などが利用できる場合があります。
専門学校への再進学を検討する際の注意点
大学中退後に専門学校へ進学するケースでは、次の2点をしっかり確認しましょう。
- 「厚生労働大臣指定校」または「都道府県知事認可校」であるか
資格取得を目指す場合、この認可があるかどうかで卒業後の進路が変わります。 - 実践重視のカリキュラムが整っているか
中退後の再スタートには、「学びながら仕事に直結する力」が身につく環境が理想です。
中退を選んだ後、親子関係をこじらせないために
一度「辞める」と決めた後、親子の間に距離ができるケースもあります。
しかし、中退後こそ親の支えが必要です。
- 叱るより、見守る
- 「どうするの?」より「どうしたいの?」を聞く
- 成功体験を一緒に積み上げていく
専門学校の再進学説明会などでは、親子で参加されるご家庭が多いです。
保護者が「もう一度頑張ってみよう」と言葉をかけるだけで、子どもは驚くほど前を向きます。
親が安心して背中を押すために
最後に、これだけは覚えておいてください。
大学中退は「道を外れること」ではなく、「自分に合った道を探し直すこと」です。
いま一歩を踏み出すための環境づくりを、焦らずゆっくり進めていきましょう。
もしお子さんが専門学校への進学を考えているなら、まずは資料請求やオープンキャンパス参加をおすすめします。
それが新しい夢の入口になるかもしれません。

