専門学校への進学を考えるとき、いちばん不安なのが「入ってから後悔しないか」という点です。
ここでは、学校法人の専門学校部門で長年勤務してきた立場から、“行ってはいけない学校”を見分けるためのポイントをやさしく解説します。
まず知っておきたい「この学校は避けたほうがいいかもしれない」サイン
専門学校選びで失敗する人の多くは、「どの学校が危ないのか」を知らないまま入学しています。
ここでは、注意しておきたい３つのサインを紹介します。
認可・無認可の違いと「学歴にならない学校」のリスク
まず確認したいのは、その学校が都道府県知事の認可を受けた「専修学校（専門課程）」かどうか。
無認可の「〇〇美容学校」「〇〇アカデミー」などは、最終学歴が“高卒”のままになります。
また、国の修学支援制度（授業料減免や給付型奨学金）の対象外になることも。
学校HPの最下部に「都道府県知事認可」「厚生労働大臣指定」と明記があるか、必ず確認しましょう。
退学率・中途離脱者数を必ず確認すべき理由
退学率が高い学校は、学生サポートや教育体制が弱い可能性があります。
募集要項やオープンキャンパスで「毎年どれくらいの学生が卒業していますか？」と聞いてみましょう。
卒業率80％以上がひとつの目安です。
「求人・就職実績」が曖昧な学校の見落としがちな落とし穴
「就職率100％」と書かれていても、アルバイトやグループ校紹介の就職を含む場合があります。
数字だけでなく、どんな企業・職種に何人が就職したのかという“中身”を確認することが大切です。
【６つの確認ポイント】あなたに合った“良い専門学校”を見つけるために
行ってはいけない学校を避けるだけでなく、「行くべき学校」を選ぶ視点も必要です。
ここでは、後悔しない学校選びのための６つのチェックポイントを紹介します。
1. 学生・教職員の雰囲気（校風・少人数制など）
授業を見学したとき、先生と学生の会話に温かさが感じられるかどうか。
人数が多すぎず、一人ひとりに声をかけている学校はサポート体制が整っています。
2. 授業・実習見学のリアルさ（見学時のチェック項目）
オープンキャンパスや授業見学で、実習が実際に行われているかを確認。
説明だけで終わる学校より、現場に近い学びを体験できる学校が信頼できます。
3. 資格取得率・就職実績の数字とその裏の“母数”を確認
合格率が高くても、受験者が少なければ意味がありません。
「受験した学生のうち、何人が合格しましたか？」と具体的に尋ねましょう。
4. 学生一人ひとりに対するサポート体制（生活・学習・進路）
担任制度やキャリアセンターがしっかり機能しているかを確認。
相談窓口が明確にある学校は、途中で挫折しにくい環境です。
5. 学費・奨学金・給付金の透明性（負担の明示）
パンフレットに「入学金」「授業料」「教材費」「実習費」などが細かく記載されているか。
費用が明確＝信頼できる学校です。支払い方法や給付金の案内が丁寧な学校を選びましょう。
6. 学校パンフレットや説明会で“お客様対応”になっていないか（広告的演出の違和感）
説明会で営業トークばかりだったり、質問に具体的な答えが返ってこない学校は要注意です。
誠実な学校ほど「難しさ」や「卒業までの努力」も包み隠さず説明してくれます。
ケース別チェック！高校生・大学中退・社会人で見る“合う学校／避ける学校”
進路選びの立場によって、重視すべきポイントが異なります。
ここでは、それぞれの立場に合わせた学校選びの注意点をまとめました。
高校生・保護者が見るべき視点
高校生の場合は、学費の負担と学びの内容のバランスを重視。
また、保護者が学校を訪問して、教職員の対応を直接見ることも大切です。
大学中退・再進学を考える人の視点
社会に出てから再び学ぶ場合、転職に直結する資格取得や実習内容を重視すべきです。
「再チャレンジ支援」「学び直し制度」がある学校は安心できます。
社会人・働きながら学び直す人の視点
働きながら通う人は、通信課程や夜間課程の授業時間・スケジュールの柔軟さを確認。
職場との両立支援や専門実践教育訓練給付金のサポート体制も重要です。
実践リスト：オープンキャンパス・資料請求時に使える質問チェックリスト
学校を訪れる際は、パンフレットでは分からない“現場の空気”を感じることが大切です。
次の質問をメモしておくと、比較検討がしやすくなります。
- この学校の卒業率・就職率を具体的に教えてください
- 実習施設や提携企業はどこですか？
- 学費以外に追加で必要な費用はありますか？
- 先生や在校生に直接質問できますか？
- 給付金・奨学金制度のサポート窓口はありますか？
よくある誤解とQ&A ―「行ってはいけない専門学校」に入らないために
Q：大きな校舎＝良い学校ですか？
A：必ずしもそうではありません。施設が立派でも、教員数や学生サポートが不足しているケースもあります。
Q：「合格率100％」は本当にすごい？
A：受験者数が少ない場合もあります。母数を確認しましょう。
Q：求人紹介が“グループ校”中心の学校はどう？
A：外部企業とのつながりが少ないと就職先が偏る可能性があります。
Q：入学後に「思っていたのと違う」と感じた場合は？
A：早めに担任や事務局に相談を。誠実な学校なら、解決策を一緒に考えてくれます。
まとめと次のステップ ―あなたに合った学校選びを始めましょう
行ってはいけない学校を見極めるコツは、数字よりも「人と制度」を見ることです。
オープンキャンパスや説明会では、雰囲気・対応・説明の誠実さを確認しましょう。
専門学校は「職業人としての第一歩」を踏み出す場所。
焦らず、自分に合った学校を見つけることが、何より大切です。
