「美容師になりたい」「でもできるだけ早く免許を取りたい」
そんな方に向けて、美容師免許の取り方と“最短ルート”をわかりやすく解説します。
国家資格である美容師免許は、厚生労働省の指定する「美容師養成施設」を卒業し、国家試験に合格することで取得できます。
しかし、学校の種類や通い方、ライフスタイルによって最短ルートは異なります。
この記事では、最短で美容師免許を取る方法と、自分に合った選び方を丁寧に解説していきます。
美容師免許とは?【国家資格の基本を確認】
美容室でお客様に対してカット、カラーをしたり、まつ毛エクステをしたりするには「美容師免許」が必要です。
「美容師免許」がない人がこれらの技術を提供して、料金をもらうと「美容師法」違反となります。
美容師法 第6条 美容師でなければ、美容を業としてはならない。
引用:厚生労働省HP
美容師免許をとるためには「美容師試験」に合格しなければなりません。
美容師法 第3条 美容師試験に合格した者は、厚生労働大臣の免許を受けて美容師になることができる。
引用:厚生労働省HP
ここで注意が必要なのは、美容師試験に合格しただけでは美容師にはなれない点です。
美容師法 第5条の2 美容師の免許は、美容師試験に合格した者の申請により、美容師名簿に登録することによって行う。
2 厚生労働大臣は、美容師の免許を与えたときは、美容師免許を交付する。
引用:厚生労働省HP
このように、美容師試験に合格した後、免許証の交付を申請し、手元に美容師免許証を取り寄せる必要があることを忘れないようにしてください。
将来美容室やまつ毛エクステサロンで働きたい人にとっては、絶対に必要な資格が「美容師免許」です。
美容師試験とは
美容師免許を取るために、合格しなければならない「美容師試験」とは、どのような試験なのでしょうか?
ここでは、美容師試験の実施時期や内容、難易度についてご説明します。
美容師試験は、毎年2回実施されています。
2,3月に実施される春の試験と8,9月に実施される秋の試験ですね。
春の試験の受験者の多くは、後で詳しく説明する全日制昼間過程や夜間課程の卒業予定者です。
いっぽう秋の試験の受験者の多くは通信課程の卒業予定者です。
美容師試験では、美容師実技試験と(2月,8月実施)美容師筆記試験(3月,9月実施)の両方を受験し、両方とも合格する必要があるのですね。
美容師実技試験の内容ですが、第1課題は「カッティング」と決まっています。第2課題は「ワインディング」または「セッティング」のいずれかひとつです。第2課題は実技試験のおよそ3か月前に発表されます。
このふたつの課題に取り組んで、合格点数を超えれば合格です。
美容師筆記試験は、美容師養成施設で勉強する必修課目の試験に回答し、合格点数を超えれば合格です。
一度の美容師試験において実技、筆記の両方に合格しなければなりません。
合格発表は2,3月の春の試験は3月31日午前9時から、8,9月の秋の試験は9月30日の午前9時からネット上で行われます。
美容師試験の平均合格率は春の試験が85%~90%、秋の試験が55%~65%です。やはり、全日制昼間課程、夜間課程のほうが通信課程よりも合格率が高い様子ですね。
美容師試験については、厚生労働省から指定された試験機関が詳しい情報を公開しています。
指定試験機関の理容師美容師試験研修センターはこちら
美容師試験を受けるには
美容師試験は、都道府県知事の指定した美容師養成施設において定められた期間以上美容師になるのに必要な知識及び技能を習得したものでなければ受けることができない、とされています。
ですから、独学で勉強して受験・合格して免許をとる、ということはできないのです。
必ず、美容師養成施設を卒業しなければなりません。
美容師免許の取り方は3通り
美容師養成施設には、次の3種の課程があります。
1. 昼間課程(修業年限2年)
2. 夜間課程(修業年限2~2.5年)
3. 通信課程(修業年限3年)
修業年限、かかる学費、合格率など、それぞれに特長がありますので、詳しくご紹介しましょう。
昼間課程とは
美容師免許をとるために、最もポピュラーな課程です。
全日制で、2年間かけて必要な授業を受けて卒業前に美容師試験を受験します。
合格率は多くの場合、90%を超えます。
ただし、学費は2年間で最低250万円、中には300万円近く必要なケースもあります。
3つの課程の中では最も学費が高いですよ。
夜間課程とは
夜間課程とは、毎日夕方から夜間に通学して、2年間で昼間課程と同じカリキュラムを学習し、2年間で卒業する課程です。
昼間は働きながら通学するケースも多く、体力や時間管理に注意することが必要となります。
合格率は昼間課程と同じようなレベルだと言われています。
学費は2年間で200万円から250万円と、昼間課程よりも低額なことが多いようです。
3つの課程の中では、中ほどの学費に加えて、昼間、働くことができる点が有利と言えるでしょう。
通信課程とは
通信課程とは、高等学校卒業後に美容師に就職して、勤務しながら3年間で卒業する課程です。
なかには、高等学校や高等専修学校に入学して通信課程を併修するというケースもあります。
通信課程では、学校で対面授業を受ける時間数が、昼間課程や夜間課程に比べると極端に少ないので、美容室に勤務することが可能です。
高等学校や高等専修学校においても、通常の高等学校程度の授業を受けながら、通信課程の面接授業を受けることが可能です。
面接授業以外には、日本理容美容教育センターの通信授業と提出課題の添削を受けることも必要です。
特に美容室で勤務しながら通信課程を卒業するのは、お仕事の忙しさや疲労のなかで、通信授業や課題提出を継続することが大切です。
しかし、合格率は、面接授業の少なさからか3つの課程の中では、最も低くなります。
受験準備に細心の注意が必要な課程と言えますね。
ただ、学費は3つの課程の中でもとりわけ安くなっており、最も経済的負担は少ないでしょう。
学費は3年間で70万円から100万円と、最も安いです。
美容師免許の最短ルート【最短期間・費用・条件を比較】
では美容師免許をとるための3つの課程の必要な期間や費用、合格率を一覧表にして比較してみますね。
| 修学年数 | 合格率 | 学費目安 | 備考 | |
| 昼間過程 | 2年 | 90%以上 | 250~300万円 | 最もポピュラーで、合格率も高い。 |
| 夜間課程 | 2~2.5年 | 80%以上 | 200~250万円 | 昼間は働くことができる。 |
| 通信課程 | 3年 | 55~65% | 70~100万円 | 安上がりだが3年で、合格率は低い。 |
ご覧のとおり、美容師免許を最短でとれるのは、やはり2年間学ぶ昼間課程の美容師養成施設ということになるでしょう。
夜間課程を選ぶときは、時間管理が重要になることを覚えておきましょう。
通信課程については、時間管理はもちろん、働いて疲れていても通信授業や課題提出を怠らない自己管理も重要になってきます。
また、美容師試験の合格率は、昼間課程・夜間課程であれば、まじめに授業を受けていればほぼ合格できると言えますが、通信課程の場合には、かなりの準備・努力が求められるということを自覚しておく必要があるでしょう。
先ほど紹介した、高等学校や高等専修学校で、美容師養成施設の通信課程を併修して、卒業時に国家試験を受験するという方法は、美容師免許を18歳でとれるという意味では、最短かもしれません。
しかし、修学年数は3年ですし、通信課程ですので、合格率も低いため、多少の不安が残るでしょう。
ですから、美容師免許を取るのは20歳になりますが、修学年数が2年で最も短く、合格率も最も高い見込みの専門学校昼間課程が最短ルートと考えて間違いないでしょう。
美容専門学校選びのポイント
美容師免許の最短ルートである美容専門学校の昼間課程を選ぶときのポイントを解説しましょう。
全国に美容師養成施設は245校ほどあります。
このうち専門学校は211校ほどです。(2025年8月末現在:筆者調べ)
地域別に美容師養成施設を調べるには、日本理容美容教育センターのこのページが便利です。
なお、学校名に「美容専門学校」とついている学校は、美容師養成施設であると同時に、専門学校でもあります。
注意したいのは、美容師養成施設だけど、専門学校ではない、というケースです。
学校名が「○○美容学校」の場合には、専門学校の認可を受けていない可能性がありますから注意しましょう。
この学校を卒業した場合には、最終学歴が「高卒」ということになりますからね。
簡単な見分け方は、その学校のHPのトップページの一番下に表示されている厚生労働大臣「指定」という言葉と、都道府県知事「認可」という言葉に注意することです。
厚生労働大臣「指定」は美容師養成施設であるという意味、都道府県知事「認可」は専門学校である、という意味です。「指定」と「認可」の両方が見つかった場合には専門学校だと考えて、間違いないでしょう。
「指定」という言葉だけの場合には、専門学校ではない可能性が高いです。
もし、HPで見分けがつかない場合には、学校に直接確認するとよいでしょう。
美容専門学校を調べるにはこちらのページが便利ですよ。
>>>
美容専門学校を選ぶときのポイントは次の5つです。
- 国家試験の合格率はどうか?
美容師免許を取ることが最も重要な目的です。
その学校の過去の合格率は必ずチェックしましょう。
- 実習設備や授業カリキュラムはどうか?
実習設備が整っていて、入学定員や1クラスの学生数に十分で、新しいものかどうか確認することを忘れずに。
また、カリキュラムも、自分が学びたい技術について十分な時間数が用意されているかどうかも大切なポイントです。
- 先生や在校生の様子はどうか?
実際に無料の体験授業や、オープンキャンパスに参加しましょう。
そうすることで、先生の人柄や教え方の特長を理解することができます。
また、在校生の様子を見て、自分が入学したときのイメージを明確に持てるかどうか、も大切な要素です。
- 学費は妥当か?
募集要項に表示されている金額以外に、ほかの費用が必要ではないのか確認しておくことも大切です。
また、ほかの美容専門学校と比較して高すぎないか確認することも大切です。
この点は、高校生が聞き出すのは難しいですから、オープンキャンパスに保護者と一緒に参加すると安心です。
- 就職実績はどうか?
卒業時点で希望の就職先に入れるかどうかも大切なことです。過去、どのような就職先に就職しているのかを確認することはご自分の将来のために大切なことです。
以上のポイントに気を付けて美容専門学校の進学先候補を見つけましょう。
美容専門学校選びの具体的な手順
美容専門学校を選ぶための具体的な手順を解説します。
- 保護者と進路の相談
なんといっても、進学については保護者の理解と協力が必要です。
早め早めに相談して、アドバイスももらいましょう。
- 進学サイトやパンフレット、進路ガイダンスなどを使って、美容専門学校の情報をリサーチ
数多くの専門学校からインターネットや学校の進路室の情報、進路ガイダンスなど、あらゆる方法を使って、候補を絞っていきましょう。
- 学費の情報をもとに資金計画を立てる
同時に、候補の学費をもとに資金計画を立てましょう。
このときは、必ず保護者とご一緒に。
- 修学支援制度や奨学金の利用を検討する
手持ち資金だけでは不足しそうなときは、高等教育の修学支援新制度の利用を考慮したり
日本学生支援機構の奨学金を利用することも考慮しておきます。
修学支援制度や奨学金は高校3年生の4月から高校で予約採用の受付をしています。
予約採用の申込期限に間に合わせて、予約採用が決まっていると、進学後に申し込みをするよりも安心できます。
- 無料体験授業やオープンキャンパスに参加して情報収集
実際に進学先候補の先生や在校生を見ておくことは重要です。
学費の確認もするのであれば、保護者と一緒に参加すると安心です。
- パンフレットや実際に見てきた情報をもとに進学先を決める
集めた情報をもとに進学先を決定しましょう。
保護者の意見も聞きながら慎重に決めるのがよいでしょう。
- 高校の担任に報告し、受験の準備
進学先が決まったら、高校の担任にも報告をして、入試や出願の際に協力してもらえるようにしておきましょう。
以上の手順を、慌てずに、着実に実行していきましょう。
美容師免許を取ったあとの進路とキャリア
美容師免許を取った後は、美容室でのアシスタント勤務が一般的です。
多くの人が数年間の修行を経てスタイリストデビューします。
近年は美容業界の多様化が進み、次のような進路もあります。
- アイリスト(まつげエクステ施術)
- ヘアメイクアーティスト
- ブライダル関連企業
- 海外で美容師として働く
美容師免許は、一生モノの国家資格。
「手に職をつけたい」「好きな仕事で生きたい」という人にとって、大きな武器になります。
よくある質問Q&A
ここでは、よくある質問と回答をご紹介します。
Q:高校在学中から美容師免許を取ることはできますか?
A:高校在学中に美容師免許を取得することは出来ませんが、高校入学と同時に通信課程に入学 し、 卒業と同時に美容師試験を受験することは可能です。
Q:通信課程で働きながらでも合格できますか?
A:可能です。ただし、自己管理が大切です。対面授業、課題提出をすることが必要です。
Q:専門学校の学費が高くて迷っています。
「高等教育の修学支援新制度」や「日本学生支援機構の奨学金」を利用すれば、自己負担を抑えることができます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
まとめ:最短で美容師免許を取るなら「専門学校の昼間課程」
美容師免許を最短で取得するためには、2年間で学べる「専門学校の昼間課程」がもっとも確実で安心できるルートです。
通信課程や夜間課程にもそれぞれの良さがありますが、合格率・サポート体制・学びやすさのバランスを考えると、昼間課程がやはり王道といえるでしょう。
美容師という仕事は、国家資格を通じて“好き”を一生の仕事にできる素晴らしい職業です。
焦らず、自分のペースで夢に向かって進めば大丈夫。
もし進路に迷ったときは、オープンキャンパスや進路ガイダンスで実際に学校を訪ねてみましょう。
あなたにぴったりの専門学校が、きっと見つかります。

